「退職後の健康保険はどうするの?扶養家族は?手続き方法は?」
「任意継続と国民健康保険って、どっちがお得なの?」
会社を辞めれば、社会保険や保険組合などからも脱退となり、被保険者ではなくなってしまいます。
健康保険への加入は国民の義務であるため、退職後には何らかの健康保険に加入することになりますが、どのような種類や手続きが必要なのか気になるものです。
このページでは、退職後の健康保険について、種類や手続き方法などを紹介します。それぞれ、期限や条件などもあるため、自分にマッチした健康保険を選択しましょう。
退職後の健康保険は4種類
前述したように健康保険への加入は国民の義務であるため、従業員として働いているなら通常「組合健保」や「協会けんぽ」などの健康保険へ自動的に加入し、手続きも会社が行ってくれています。
しかし、退職し従業員ではなくなった場合は、自分で何らかの健康保険へ手続を行っての加入が必要です。
以下が、退職後に加入可能な4種類の健康保険。
① 転職先の健康保険
② 任意継続被保険者制度
③ 国民健康保険
④ 扶養家族になる
退職後、すぐに再就職しない場合と再就職する場合などで、加入できる健康保険は変わってきます。
次では、それぞれについて加入条件、手続き方法や期限などについて説明しましょう。
4種類の健康保険手続きなどの解説と比較
ここでは、4種類の健康保険それぞれについて、加入条件、手続き期限、手続き場所、手続きに必要な物、手続き方法などを紹介します。各健康保険のメリットについても触れていくので参考にしてみてください。
また、どのケースでも退職書類が必要となり、遅れると手続きできないなどの問題が起こる可能性があります。退職書類についての詳細は関連記事を確認してください。
関連記事:退職時に会社から受け取る書類は5種類!何の書類?いつもらえる?などの疑問を解決!
① 転職先の健康保険
会社を辞めてすぐに再就職するなら、転職先の健康保険に加入することになります。
項目 | 備考 |
---|---|
手続き場所 | ・転職先の会社 |
手続き方法 | ・書類を提出 ・扶養家族がいる場合は申請 |
手続きに必要な物 | ・健康保険被保険者資格喪失証明書 ・被扶養者異動届(扶養家族がいる場合) |
保険料 | ・健康保険料率は都道府県により違う ・給与×健康保険料率÷2 (半分は会社負担なので÷2) ・月額保険料には上限がある (上限も都道府県により違う) |
手続き期限 | ・入社時 |
加入条件など | ・入社すること |
転職先の健康保険に加入するには難しい手続きをする必要はなく、辞めた会社から受け取った書類を再就職の会社へ渡し、会社から渡された書類で申請するだけです。
入社時に会社が手続きを進めてくれるため、退職後期間を空けずに転職するなら健康保険手続きは必要ありません。
とにかく、自分から手続きをする必要がないこと。扶養家族分についても「健康保険被扶養者異動届」で申請すればOKです。
② 任意継続被保険者制度
辞めた会社の健康保険を継続して加入する制度もあります。すぐに転職しない場合などに加入するケースが多い健康保険となります。
項目 | 備考 |
---|---|
手続き場所 | ・退職した会社 ・または管轄の社会保険事務所 |
手続き方法 | ・書類を提出および申請 |
手続きに必要な物 | ・健康保険任意継続被保険者資格取得申請書 ・印鑑 ・扶養家族の住民票 ・月割分の保険料 |
保険料 | ・退職前の倍額くらい (会社負担分がなくなるため) ・月額保険料に上限がある (都道府県により違う) ・扶養家族がいても保険料は変わらない |
手続き期限 | ・退職日の翌日から20日以内 |
加入条件など | ・被保険者期間が2カ月以上あればOK ・最大で2年間継続できる |
保険料は倍額程度になりますが、退職後も今までと同じ健康保険に最大2年間加入できます。被保険者期間が2カ月あれば継続できるため、条件としては厳しくありません。
手続きの期限は退職の翌日から20日以内です。国民年金保険と違い、期限を過ぎると加入できないため注意しましょう。(国保は期限が過ぎても加入できます)。
退職する際に会社から加入案内を渡されるのが一般的なため、在職中に継続する意思を伝えることも可能です。退職を検討しているなら期限内に決められるように、シミュレーションしておきましょう。
扶養家族がいても保険料が変わらないのがメリット。国民健康保険では人数分の保険料がかかるため、扶養家族の人数によってはかなり保険料がお得になります。また、月々のおおよその保険料を把握して加入できる点です。会社が負担していた分を自分で払うことになるため、今まで払っていた金額の2倍が保険料となります。
③ 国民健康保険
国保と呼ばれている、一般的に会社員以外の人が加入する健康保険で、個人事業主やフリーランスなども加入することになります。
また、会社を辞めてすぐに転職しない場合、再就職までの期間だけ加入するケースも少なくありません。
項目 | 備考 |
---|---|
手続き場所 | ・管轄市区町村の国民健康保険窓口 |
手続き方法 | ・書類を提出および申請 |
手続きに必要な物 | ・各市町村書式の届出書 ・印鑑 ・以下書類のいずれか イ.健康保険被保険者資格喪失証明書 ロ.離職票 ハ.退職証明書 |
保険料 | ・扶養家族の人数で保険料も変わる ・前年の世帯年収により計算 ・自治体により違うため以下の方法で確認 イ.市町村のHPなどで計算方法を検索 ロ.直接窓口で計算してもらう |
手続き期限 | ・退職日の翌日から14日以内 |
加入条件など | ・健康保険に未加入(加入する必要がある) ・手続き期限が過ぎても加入できる |
健康保険の加入は義務となっているので、以下のケースでは国民健康保険への加入が必要です。
- 転職までに14日以上期間がある
- 任意継続被保険者制度の満了
また、国民健康保険は扶養家族という概念がなく人数分の保険料がかかるため、社会保険よりも保険料は高くなるケースが多くあります。
メリットは期限を過ぎても加入できることです。健康保険は国民の義務であるための救済処置といえますが、無保険状態を防ぐことができます。しかし、保険料は無保険期間分も納める必要があるのに対し、給付は届出日からです。
④ 扶養家族になる
自分以外の家族が会社員として働いているなら、条件にもよりますが扶養家族になることもできます。
また、手続きなどは本人ではなく家族が会社で行うため、本人は退職書類などを渡すだけです。
項目 | 備考 |
---|---|
手続き場所 | ・家族の会社 |
手続き方法 | ・書類を提出および申請 |
手続きに必要な物 | ・健康保険被保険者資格喪失証明書 ・住民票 ・被扶養者異動届 ・被扶養者状況届 |
保険料 | ・変更なし |
手続き期限 | ・5日以内 |
加入条件など | ・別表参照 |
保険料もかかることなく加入でき、さらに申請も簡単。手続き期限は5日ですが、柔軟に対応してくれるケースがほとんどです。
保険料が増えないことがメリットです。国保は人数分かかり任意継続では今までの倍額がかかるのに対し、家族の扶養に入れば増額することなく健康保険に加入できます。ただ、条件も多くあるため退職前にしっかりと確認しておく必要もある。
【扶養家族になるための条件】
同居なのか別居なのかによっても条件が異なります。以下の表で確認してみてください。
条件 | 別居 | 同居 |
---|---|---|
続柄 | ・配偶者、内縁者 ・子、孫、養子、兄弟 ・父母、義父母など |
・左記以外の三親等内親族 ・内縁者の連れ子、父母 |
見込み年収 | ・見込み年収130万円未満 (月収108,334円未満) ・60歳以上と障害者は見込み年入180万円未満 (月収150,000円未満) |
|
収入の条件 | ・収入が扶養者からの仕送り額 未満であること |
・収入が扶養者の半分未満 |
見込み年収のため、年の途中で130万円を超える見込みの月収があれば、自ら健康保険へ加入しなければなりません。
まとめ
健康保険への加入は国民の義務ですが、退職後すぐに再就職するならとくに手続きなどの必要はありません。
しかし、すぐに再就職しない場合は、何らかの健康保険へ加入するため自ら手続きする必要があります。
退職を考えているなら、会社を辞める前にしっかりと扶養家族の人数や転職までの期間などを考慮した健康保険への加入を計画しておきましょう。