仕事しない、覚えない、ミスばかりする、マナーや礼儀を知らない、コミュニケーションを取らないなど、部下に不満や改善してもらいたいことを感じている上司も多いでしょう。
それは、上司としてというより、部下よりも社会人生活が長いことや、会社での業務経験などが多いからです。
そんな部下たちを少しでも成長させるため、本当は注意したいけれど「言い出せない…」という上司や先輩社員も少なくありません。
このページでは、部下に注意できない上司の言い訳と本音、注意の必要性について触れたうえで、解決策として上手に注意するポイントを紹介します。
部下に注意できない上司の言い訳と注意が必要な理由とは
注意できない上司に「なぜ注意しないのか?」と聞くと、本当は注意したくてもできないだけなのに、ありがちな言い訳をすることがあります。
ここでは、どのような言い訳が多いのか紹介しながら、注意しなければいけない理由にも触れていきましょう。
すぐパワハラと言われる時代だから
「パワハラなんて言われたら面倒だよ」
「今の若い人は、すぐパワハラだって騒ぐだろ?」
昨今では、もっとも多く聞く言い訳だ。
注意される程の振る舞いをしている部下に対し注意することは、もちろんパワハラではない。
まずは、パワハラという言葉を気にする前に、パワハラとはどういうものなのかを勉強する必要があるだろう。
本人が気づかないとダメだから
「自分でなんでも気づけないやつはダメだ」
「昔はよく先輩の仕事振りを参考にしたが、今の子らはそうじゃない」
自分で気づけなど、会社員が言う言葉ではありません。
会社員にとっての大きな目的は、会社を存続させるために仕事の方法やノウハウ、会社の方針や経営理念などを、しっかりと後輩に継承していくことです。
もちろん、個人の目的は収入を得て豊かな生活を送ることですが、会社員として働くなら仕事に対しては会社のために働くと考える必要があります。
そのため、部下や後輩社員に対し「自分で気づけ」など言うべきではないのです。
「昔はよく…」など昔の話を理由にして指導や教育しないなど、会社員かする行為ではありません。
なにも指導、教育、注意などをせずに、会社が求めるような人材になる社員など、ほんの一握りではないでしょうか?
例えば、社会人経験がいい新入社員の場合、注意されないと理解できないことなど山ほどあります。
これは、自分の考えも伝えずに、自分の考えにそぐわない部下を無視していることです。
自分も部下や後輩と同じ会社員だということを認識し、会社や自分の考えを理解させるためしっかりと伝えることが大切です。
どうせ注意したって無駄だから
「どうせ注意したって理解しないだろう」
「今の若い人にはわからないよ。言っても無駄」
今の若い人と、20年くらい前の若い人、どれくらい違いがあるでしょうか?
もちろん、ファッションや身だしなみなどは時代によって違いますし、スマホなどの普及によって人との関わり方なども違うかもしれません。
ただ、実際に1対1の人間同士の会話で大きな違いがあるとは感じませんし、今も20年前も新入社員の様子に大きな違いはないのです。
自分が新入社員のとき、会社の決まりや社会のルールはしっかりと入社当初から理解できていたでしょうか?なにも指導されずに仕事ができたでしょうか?
「どうせ注意したって無駄だから」など、人生経験がある大人が、人生経験のない子供を見下しているだけです。または無関心ということではないでしょうか。
自分が社会人になった当時のことを思い出すことで、新入社員など若い社員の考えそうなことを想像してみてください。
20年前と変わったのは若い人の方ではなく、さまざまな経験を積んだ上司や先輩社員と呼ばれている会社員のほうです。
部下に注意できない上司の本音
部下を注意できない本当の理由は、ほとんどの場合、上司による自分の都合ではないでしょうか。
部下や後輩社員に嫌われたくない
いい人だと思われたいということです。
ただ、注意しないことが嫌われない条件とは言えません。
皆、仕事をしに会社へ通っているので、仕事で成果を出すことに喜びを感じる社員も多くいるのです。
上司が嫌われないようにと振る舞い、気づいたことへも注意しないのは、仕事の成果を上げるための効率を下げてしまうことにつながります。
仕事のために注意することは、会社のためにも部下のためにも大切なことだと理解しましょう。
注意の方法がわからない
注意の方法がわからい…、という理由もあります。
何度も言うように、注意するのは会社にとっても重要な業務です。
注意方法がわからないから注意しないでは、上司の怠慢としか言えません。
また、何も教育せずに部下を放置することも、パワハラとなる可能性があるので注意しましょう。
反論されたら言い返す自信がない
反論されたら言い返す自信がないのは、上司としての自覚が欠落している状態です
性格の問題もあるかもしれませんが、自分の伝えたいことが会社の考えとマッチした明確なことなら、なにを反論されても自信をもって伝えましょう。
部下へ上手く注意するポイント!解決策
部下や後輩社員をどう注意すれば、上手くいくのでしょうか。
気にするポイントは、何についてかを理解できるように注意することだ。
「普通わかるだろう」や「こんなの常識だろう」などとは考えずに、少しずつでも理解させるように伝えることが重要です。
わかりやすくするために、単純な問題を例にして説明します。
ポイント | 例 |
---|---|
① 注意する |
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② 理解させる |
|
③ 確認する |
|
① 注意する
まずは、その行動や行為について「注意する」必要があります。
どの行動や行為について、どうしてほしいのかをしっかり伝えるのがポイントです。
② 理解させる
ここがもっとも重要なことです。
よく「何度注意しても改善しない」という部下がいるなら、しっかりとここを理解しましょう。
例えば、毎日同じようにペットボトルを置く部下に対し、毎日「そのにペットボトルを置かないように」としか注意しない上司も問題です。
毎日同じようにペットボトルを置く人、毎日「そのにペットボトルを置かないように」と言う人、どちらも改善に向けて行動しているとはいえません。
上司にとっては理解できない部下、部下にとっては毎日同じことを言う上司、でしかないのです。
「理解させる」ことが抜けているため、まったく部下に注意した意図が伝わりません。
ここでポイントなるのが「普通わかるだろう」や「こんなの常識だろう」と考えないことです。
表で示したように、丁寧に理解させるようにしましょう。
①「ペットボトルを倒して中身がこぼれたらいけない」
なぜこぼれたらいけない?
↓
②「水がPCや書類にかかると大変」
なぜ大変?
↓
③「データ消失は会社の損失など大変なこと」
なぜ大変なことはダメ?
↓
④「大変なことになるリスクを避けるのは会社のルール」
上記のように、相手が理解するための「なぜ?」について、順を追って丁寧に説明することも必要です。
③確認する
そして最後に、なぜ注意されたのか理解できたかを確認しましょう。
これで、単に注意を繰り返してしまうようなことを減らせる可能性があります。
また、社員には人それぞれ常識や個性があります。
社員によっては、人前で注意されることに抵抗を感じるケースもあるので、気になることがあるなら個別に面談し注意する方法も検討してみてください。
まとめ
何度注意してもミスをする部下や後輩社員には苦労しますし、腹が立ってしまう上司もいるかもしれません。
しかし。そんなことで暴言を吐いてしまい、パワハラなどを騒がれるのは避けたいところです。
部下や後輩社員は、言われていることは理解できても内容が理解できていないケースも少なくありません。
「普通わかるだろう」や「こんなの常識だろう」などとは考えず、しっかりと理解させるため丁寧に注意することが重要です。
また、上司の伝えたいことが理解できない会社員は、上司は自分に何を伝えたいのか「なぜ?」に当てはめて考えてみてください。