自分が最低賃金以上の給与を受けているか計算した結果、最低賃金を下回っていたという人はいないでしょうか。
最低賃金は、正社員だけに設けられているものではなく、臨時やパートタイマー、アルバイト、嘱託、派遣などさまざまな雇用形態に適用されるものです(公務員には適用されません)。
このページでは、最低賃金が下回っていた場合の対処や、最低賃金以下の給与で契約を結んでいたときはどうなるのかを解説します。
また、2022年時点で、最低賃金の不足分はどれくらい遡って請求できるのかも説明するので、参考にしてみてください。
各都道府県の最低賃金は、関連記事「2022年の最低賃金改定いつから?令和4年最新の都道府県別一覧紹介」で確認してください。2022年10月以前の最低賃金は、厚生労働省公式HPから確認できます。
関連記事:最低賃金の計算方法|賞与や残業代は含まれる?対象になる手当も紹介
最低賃金とは?下回っていた場合の対処
最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定めた制度です。
そのため、計算して給与が最低賃金額を下回っている場合は、最低賃金額に満たない不足分を使用者に請求できます。
最低賃金の計算をして自分の給料が最低賃金以下だったときの対策として、厚生労働省では以下の対処を推奨しています。
- まず、使用者に最低賃金を下回っていることを話してみるのがおすすめ
- 使用者との話し合いで解決しないときは管轄の労働基準監督署に相談する
厚生労働省では、まず使用者に最低賃金を下回っていることを話してみることをすすめています。
話し合いで使用者が非を認め不足分を支払ってくれればいいですが、話に応じてくれないケースやさまざまな職場環境により自分からは離せない場合も少なくありません。
話し合いで解決できないときは、管轄の労働基準監督署に相談します。
外部リンク:全国労働基準監督署の所在案内
労働基準監督署に相談し内容が認められれば、使用者に対し是正勧告をします。
それでも使用者が従わない場合や、悪質だった場合は書類送検も考えられるので、高い確率で解決するでしょう。
また、使用者と話さずに労働基準監督署に通報した場合、自分の素性は使用者に明かされることはありません。そのため、どうしても使用者に直接いえないなら、まずは労基署に相談してみるのもいいでしょう。
最低賃金以下の給与で契約を結んでいたときはどうなる?
使用者と最低賃金以下の内容で契約していたとしても、その内容は法律により無効になります。
最低賃金法 第4条第2項では、最低賃金の効力について以下のようにしています。
最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
※引用元:厚生労働省「最低賃金法」
最低賃金法での定めにより、最低賃金以下の内容で契約してた場合、その内容は無効になります。
不足分は最低賃金になるように計算するので、労働者は請求することが可能です。
最低賃金の不足分を遡って請求できる期間は?
2022年時点で、最低賃金の不足分を遡って請求できる期間は「3年」です。そのため、未払い分の請求の時効は3年となります。
2020年4月1の労働基準法改正では、請求期間が2年から5年まで延長されました。
ただ、「延長しつつ当分の間は3年」としているので、5年に延長されるように進められている段階だと考えておきましょう。