一般的に会社を辞めるには、直属の上司へ退職の意思を伝える必要があります。
しかし、この「退職を上司へ伝える」という行為こそが、会社を辞める行為の中でもっとも苦労することです。
上司へ伝えることができず、数カ月、数年に渡り会社を辞めたくても辞められない会社員も少なくないでしょう。
このページでは退職を伝える準備として、上司へ退職を伝えるまでの手順とポイント、例文などを紹介します。
メールでOK?退職を伝える面談の場をつくる3つの手順
退職を伝えるときは特別な事情がない限りメールで伝えるべきではありませんが、面談を申し入れるときはメールでも問題ありません。
ここでは、退職を伝える場を設けるための準備として、上司と2人切りになれる環境「面談の場」をつくる手順について説明します。
手順としては、以下のように進めるのがポイントです。
- どの上司へ伝えるべきかの確認
- 上司へ面談を申し入れる方法を考える
- いつまでに退職したいかを決めておく
どの上司へ伝えるべきかの確認
基本的に退職する旨は「直属の上司」に伝えます。
チームを組んで業務を行っている場合に間違えやすいのが、グループのリーダーや班長などの一般社員や、部署内のサブ的な人物に伝えてしまうことです。上司に伝わる前に部署内に話が伝わってしまうため注意しましょう。
また、ほかの部署の上司のほうが話しやすく親しいなどの理由で、直属ではない上司に伝えるのも間違えです。
直属の上司にしてみれば、自分を蔑ろにされた気分になりへそを曲げる可能性もあります。スムーズな退職ができなく恐れもあるので注意が必要です。
さまざまな事情はあるでしょうが、円満退職を目指すなら「直属の上司」一択と考えましょう。
上司へ面談を申し入れる方法を考える
直接言葉で申し入れるか、メールで申し入れるかのどちらかになります。
オフィスに上司と自分しかいない環境なら直接言葉で伝えることもできますが、ほとんどの場合はほかの社員もいるため難しいことです。
そのため、ほかの社員に聞かれたくないなら、メールで面談の申し入れましょう。
よく「メールは失礼では?」と考える会社員もいますが、面談をメールでお願いするのは失礼なことではありません。日時など打ち合わせた内容も残るため、効率的なことも多くあります。
どのような内容のメールがいいのかは、例文を後述するので参考にしてください。
いつまでに退職したいかを決めておく
いつ退職するのかを決めておけば、いつまでに退職の意思を伝えるべきかも決めることができます。
それにより、面談を申し出る際の内容を考えることも可能です。
例えば、労働基準法では2週間前までに申し出ることで退職可能としています。ただ、就業規則などにより会社にも決まりがあり、一般的な企業では「ひと月前までに退職を伝える」としていることがほとんどです。
円満退職を目指すなら、会社の決まりを優先しましょう。
なにもなければ「ひと月前までに面談」すればいいですが、仕事の関わり方によって引き継ぎが多い人もいるでしょう。
それらを考慮して、「2〜3カ月前までに面談する」など調整が必要になります。なかには、1年前や半年前などに退職を申し出るケースも少なくありません。
申し入れるときの例文|ポイントや注意点も解説
面談を申し入れる場面は、退職を伝えるシーンではないため、会社を辞めるという内容には一切触れないようにしましょう。
基本的には、以下の内容を含めればOKです。
- 面談の日時
- 2人で話し合える環境
直接上司へ伝えられる環境があるなら、「今後について相談したいことがあるので、◯日か◯日に都合のいい日はありますか?」など、申し出ることもできます。
上司との親しさや関係性などで話し方に違いもあるため、「面談をいつまでにしたい」というのが伝わればOKです。
ここでは、メールで申し出る場合の例文やポイント、注意点を紹介します。
メール例文
件名:面談希望の件
お疲れさまです。 私事で恐縮ですが、今後についてお話したいことがあるので、 よろしくお願いいたします。 |
このような感じのメールで面談を希望しましょう。
面談を申し込むときは丁寧な言葉をよそよそしく使う必要もありません。普段の上司とメールする感じの文面で十分です。
ただ、メールを送る際には注意すべきこともあるので、次で紹介します。
メールでの注意点
メールを送る際には「件名」と「タイミング」などに注意しましょう。
件名に注意!
「退職の件」や「相談の件」などは避けるほうが無難です。
「退職の件」と上司が目にするとビックリしてしまい、ほかの社員がいる前で声を出してしまうケースもあります。
また、退職を引きとめるための準備をされてしまう可能性もあるので、できるだけ「面談」など退職を匂わさいないような内容にするのがポイントです。
また、相談でも問題ないですが、退職の意思を伝えることは上司への相談ではありません。決心した気持ちを伝えるシーンです。
そのため、相談よりも「面談」のほうが適しています。
タイミングに注意!
タイミングとは、メールを送る際「上司がどこにいるのか」ということです。
例えば、オフィスに多くの社員がいるときにメールを送ると、上司によっては「◯◯、話ってなんだぁ?」と、大きな声で質問してくるケースもあります。これでは、自分が上司へ特別な話があるということがオフィス全体に広まってしまうでしょう。
そのため、メールを送るタイミンは、以下のようなときにしよう。
- オフィスに人が少ない時間帯
- 上司が外出や出張中のとき
- 上司の出社前や退社後
ほとんどの上司は、こういったメールが送られてくると察してくれるものです。ただ、なかには配慮できない人もいるので注意しましょう。
面談場所の注意点
通常、メールを見た上司は面談に向けて、日時や場所を設定してくれます。特別なことがない限り、会議室や応接室など2人で話せる環境を設定してくれるでしょう。
ただ、メールの文面から「悩みごとがあるのでは?ほかの社員に聞かれたくないのでは?」と気遣って居酒屋などの飲食店で面談する上司も少なくありません。
とてもありがたい配慮ですが、酒の席で退職を切り出すのは避けるべきでしょう。酔ってしまうと上司の説得に屈してしまう可能性があるためです。
退職を決意し申し出るなら、飲食店などは避け勤務時間内に社内で伝えるのがポイントです。
まとめ
退職の意思を伝える面談までの順序を説明しましたが、オフィスの雰囲気によってはかなり苦戦するかもしれません。
なんといっても、退職のやり取りでもっとも緊張する場面だからです。ただ、ここを乗り越えてしまえば、自分が目指す退職にかなり前進できます。
上司によっては退職を許してくれないばかりか、脅すなどパワハラのような対応をしてくるため退職すら伝えられないというケースも少なくありません。
そういった退職を認めない会社に対しては、退職を支援してくれるサービスを利用することも検討しましょう。