小学生〜高校生世代のスポーツにおいて、監督やコーチの暴言・暴力に悩んでいる保護者や選手も多いのではないでしょうか。
少年スポーツ(スポ少)やクラブチーム、中学・高校の部活動など、さまざまな世代でスポーツをする環境がありますが、一部のチームで指導者による暴言や暴力を見聞きすることがあります。
どうして監督やコーチは、子供たち選手たちに暴言や暴力という振る舞いに至ってしまうのでしょうか。
この記事では、「暴言・暴力」と「怒る・注意」の違い、なぜ指導者が暴言・暴力を使うのか、暴言・暴力による選手への影響などを考えていきます。
指導者の「暴言・暴力」と「怒る・注意」の違い?それぞれの目的とは
監督やコーチによる「暴言・暴力」と「怒る・注意」は、まったく異なるものです。
ここでは、それぞれの目的などを考えていきます。
「怒る・注意」はスポーツや人間性の成長を促す目的がある
「怒る・注意」には、スポーツへの理解・成長や人間性の成長を促すという側面があります。
簡単に言えば、選手・子供のための振る舞いです。
例えば、以下など。
- そのスポーツやチームの考えを理解させる
- 親以外の大人から教えてもらう姿勢を養う
- 目上の人への態度や言葉づかいを教える
- ものごとへ集中して取り組む姿勢を促す
- 自分に都合の良い言い訳(嘘)をしない人間性を持たせる
- 他人のせいにしない、責任感を持たせる
- 協調性を養う
監督やコーチが怒ったり注意したりすること全てを、暴言と捉える保護者や選手も少なくありません。
ただ、人から何かを教えてもらうには、それなりの礼儀や姿勢が求められます。
よく「元気に自由に楽しんでほしい」という保護者もいますが、そうするためには最低限の礼儀や姿勢が必要になるのです。
指導している側は、自分が伝えていることに、しっかりと耳を傾けてほしいと願っています。
集中していない、話を聞かない、嫌なことからは逃げる、嘘をつく、人のせいにする、返事をしない、声を出さない、自分から行動しない、などは、怒られたり注意されたりする可能性があることです。
「怒る・注意」は選手・子供のための振る舞いなので、パワハラや暴言とは異なると理解しておきましょう。
チームに緊張感を持たせるうえでも、重要な振る舞いです。
「暴言・暴力」は指導者自身のため
「暴言・暴力」は、指導者自身の欲求のためという側面があります。
簡単に言えば、選手・子供のためではなく指導者による自分のための振る舞いです。
例えば、以下など。
- 保護者や子供たちから怖い人と思われたい
- 怒れる人を思われたい
- 自分より立場の弱い人間を支配したい
- 凄い人と思われたい
- 舐められたくない
暴力は論外として、暴言とは他人を傷つけるための言葉を指します。
子供の成長を促すのではなく、暴力や暴言で選手の心を傷つけ押さえつけているだけです。
選手たちに教育し理解させるのではなく、単純に気に入らないという感情しかありません。
そのため、その振る舞いから選手は何も得ることができないのです。
怖いと思われることに、気分が良くなっている指導者も少なくありません。
保護者や子供たちにとっては最悪な環境です。
そして、暴言や暴力が問題になったときは「子供たちのため」「チームのため」と言い訳します。
しかし、心を傷つけるだけの言動は選手に響かず、恐怖とやらされている感しか生み出しません。
「暴言・暴力」は、チームや選手を萎縮させるだけの、指導者自身の自己満足な振る舞いです。
指導者の暴言・暴力による選手への影響
監督やコーチの暴言や暴力により、選手たちは常に萎縮し恐怖心を抱きながらスポーツと接することになります。
結果、そのスポーツ自体を嫌いになってしまうのです。そのスポーツを辞めてしまうケースも少なくありません。
監督やコーチなどの指導者がチームや選手に与えるべきは、程よい緊張感です。
しかし、暴言や暴力は恐怖や憎しみだけしかは生み出しません。
なぜ、自分の親以外の大人と接する経験が浅い子供が恐怖心を植えつけられ、心を支配されなければいけないのでしょうか。
スポーツで指導者から暴言・暴力を受けた子供は、「大人は怖い」「大人は憎い」「大人は敵」という感情が芽生えてしまう可能性があります。
例えば、スポーツを通じて礼儀や言葉づかい、感謝の気持ちなどを身につけてほしいと考えていても、指導者の振る舞いによっては全く逆の影響を受けてしまうのです。
スポーツの指導に暴言や暴力は必要ありません。
純粋にスポーツを楽しみ成長したい子供たちの、気持ちを折ってしまうだけです。
スポーツの指導には暴言も暴力もいらない
スポーツにおける暴言・暴力の話をすると、昭和や平成初期の頃は体罰や暴言などで「成果があった」「今では感謝している」など、過去の暴力や暴言を肯定する人も少なくありません。
昭和や平成初期では、選手・子供たちによる監督やコーチへの反抗が激しいケースもありました。そのため、暴言や暴力が選手の更生に一役買ったという考えも少なからずあるのでしょう。
ただ、反抗的な選手や子供が少ない令和のこの時代では、スポーツに暴言や暴力は何の役にも立ちちません。
指導者へ素直に従い言われた通りに行動したのに、「ミスをした」「動きが悪い」などの理由での暴言・暴力は最悪です。さらに、怖い人と思われたいなど自己満足の何ものでもありません。
「大人は怖い」「大人は憎い」「大人は敵」など、子供に間違った感情を植えつけないためにも、重要なことです。